その昔、地上では、良い人や悪い人、強い人や弱い人、そういったいろいろな人間と、神様や悪魔や死神が一緒に歩き回っていました。動物や身近にある道具さえも、気が向けば人間とおしゃべりをしました。そして、全ての人間は、正しいもの、美しいもの、本当に大切なものが何なのか、とても良く知っていましたし、それらを信じることもできました。ですから、彼らはいつでも、正直に、そして、勇気をもって生きることができたのです。グリム兄弟のメルヘンは、そんな時代の地球が舞台です。それに対して現代は、グリム兄弟の時代からは、永遠よりも遠く隔てられてしまったかのように感じられます。私たちは、そこで生きて行かなければなりませんが、それでも、グリム兄弟がメルヘンに託して書き残した人間の心まで、失いたくありません。
この作品では、グリム兄弟が残してくれた心を、笑いとサスペンスの中に描き、登場する少年と共にそのありかを確かめていきます。人間が呼ぶから出てくる、どんな人間の心の中にでも棲みついている、そんな悪魔の存在に、子供たちがハンス少年と一緒に気付いてくれたら・・・そんな願いのもとで制作いたしました。
舞台はヨーロッパの片隅の、森に囲まれた小さな村・・・今は酷い不景気でした。
ある日の夕暮れ時、ハンス少年を追い出すために継母は、森で季節外れのキノコを採って来いと命じます。森に独り残されたハンスは、その時、300年生きているという「もみの木の精」に出会います。でも、それは、これから村を襲おうとしている、恐ろしい事件の前触れだったのです。
そうです、そこに、悪魔サンタンテックが姿を現したのです。実は、もみの木の精も悪魔の手下で、彼らの目的は、戦争が終わって足りなくなってしまった「人間の魂」を集める事でした。
悪魔は三つの問題を出し、それに一問でも間違えると、その人の魂を取り上げるのですが、なんと、悪魔の次の狙いは、ハンスの継母だったのです。日頃苛められている事も忘れ、ハンスはなんとか継母を助けようと、ついには悪魔と取引さえするのですが・・・。
さて、ハンスは継母を助けられるのでしょうか。そして、悪魔とどう戦うつもりなのでしょうか。
<作品情報>
・原作/グリム兄弟
・脚本/村田里絵
・演出/平塚仁郎
・上演時間/約80分(休憩10分)
・対象/小学生
モミのきのせいへ、げきをみせてくれてありがとうございました。げきをみてたらどのくらい大きなくちをあければいいのかわかりました。そしておもしろいところがたくさんあってともだちとわらいました。あくまのサンタンテックがかっこよかったです。きょうはがっこうにきてよかったなぁとおもいました。
1年男子
モミの木のせいさんのギャグやダジャレがとてもおもしろかった。これからがくげい会があるのでみなさんを見ておてほんにしたいです。すごくいいげきでした。ハンスのゆう気がすごかった。悪魔が本当の悪魔みたいになっていて、マジックがすごかった。ハンスがさいごにお母さんと言えたので泣いてしまいました。
2年女子
僕はハンスと大悪魔を見て、いろんなことを学びました。たとえばゆうきをもつということです。ぼくだったらあくまにたちむかえなかったとおもいます。そんなハンスをみてぼくもゆうきをもとうとおもいました。
モミの木の精は悪魔につれていかれたのにげきのさいごでぶたいにあるモミの木の葉がゆれて「ちゃんとつたわっているんだ」と思って感動しました。
3年男子
わたしがこれまで見たげきで一番心に残りました。わたしは感動のなみだとかなしみのなみだが出てしまいました。それだけすごかったげきをやってくれたということです。これを見てこんどの学芸会では劇ととるのではなく、ふつうの生活をしているようにしたいです。げきでせりふをしゃべってない時の行動がとっても勉強になりました。
4年女子
出演者の皆さんが本当に話の世界に入り込んでいりのがすごかったです。一人一人役に入ってたのが印象的だった。僕は皆さんみたいにあまり大きい声で多くの人の前ではしゃべれなかったけど、来年には皆さんを思い出しながら大きい声で演じてみたいと思います。ハンスがお母さんを助ける事が出来てよかった。
5年男子
ハンスは意地悪な母さんからキノコをとってこいと言われて森へ行くことになったけど、母さんが悪魔と契約してしまった事を知り、母さんのたましいがうばわれてしまった時はショックだったけど、見事悪魔との勝負に打ち勝ち母さんを救えて良かったです。「とうだい!」や「あんまもみもみ!」といったセリフで笑える場面も多くとても楽しかったです。
6年女子