第一話 リアの足
喜寿を祝う食事会の後、父と共に娘三人が実家へ帰ってくる。一年半前に母が亡くなって以来、父は一人暮らしで、家族が揃うのは久しぶり。そこで長女は、娘三人揃ったのを機に父に免許返納を説得しようと言い出す。父はいまだに毎日のように運転してはいるが、近頃はあちこちぶつけているようで、車の惨憺たる有様をごく最近知った為だ。やがて、長女の夫や三女の婚約者も巻き込んで、運転をやめろやめないに始まり、一人暮らしがどうとか、生前贈与がどうしたこうした、その全てが絡み合い、すっかり被害妄想に取りつかれた父親は、リア王よろしく、ついにある提案をする・・・。
第二話 染地の桜
ある介護施設では、入居者の望みを入居者みんなで叶えるプログラムを始めたばかり。
佐々木さんという認知症を患う女性の望みは、末期がんで入院している一人娘の誕生日、彼女が入院している病院へお祝いに行くというもの。ほんの短い訪問だったが、久しぶりに親子は対面し、ささやかながら誕生日を祝う。春になったら、一緒に地元の桜を見に行きたいと娘の願いを聞いた帰り際、一日中、一言も何も話さなかった佐々木さんが突然・・・。
第三話 ばあちゃんは大丈夫
今日は孫の誕生日、単身赴任中の息子はさておき、お祝いしようという祖母智恵子の提案に嫁も孫も大喜び。でもこの頃、ウチでは妙な事ばかり起きる。大事な物がなくなったり、しょっちゅう嫁に叱られたり。その日も二人が出かけた後、怪しい人間が家の外をうろうろして、遂には財布が盗まれる。交番に駆け込んだが、警官も嫁たちも何もしてくれない。すると、子供の頃の友達が、うちへ帰ろうと迎えに来た。しかし、辿り着いたのは改装中の本屋さん、一風変わったその店で若い夫婦と親しくなる。翌日もそこへ行ってみると、何故か店には孫もいて、後から息子や嫁が追ってきて・・・。
みんなで話しをするうちに、智恵子の秘密が明らかになる・・・。
<作品情報>
・脚本/村田里絵
・演出/平塚仁郎
・対象/一般